トンネル掘削工事にブレーカを使う理由
便利で使い勝手がいい。そして工事現場への高い適応力こそがトンネル掘削工事にブレーカが選ばれる理由です
トンネルの掘削にブレーカを使う理由はさまざまです。掘削作業や固結作業、土砂の運搬の難しさ、そしていわゆる「地盤の不確実性」のリスクこそが、山岳トンネルが特に複雑な建設工事のひとつと言われる所以です。地質専門家が用意するデータに基づいて設計時に決まった選択が実際に現場で目にした条件に必ずしも一致しないことがあり、これが結果として作業の進行、特に事前に予定されていた掘削システムと固結システムの効率と生産性に大きな影響をもたらす可能性があります。実際、全断面トンネル掘進機 (TBM – トンネルボーリングマシン) 技術は、そのスピーディー工法によって、現在広く普及しているシステムです。しかし、岩盤の地質条件と実際の条件の間に乖離が生じると、工事の遅延や莫大な経済的損失、さらには現場で働く作業員を危険な状態に陥れるなど、企業や注文主に大きな問題を引き起こす可能性があるのです。一方で、トンネル掘削工事に、ブレーカを使用すれば、岩盤の特性の違いに迅速かつ経済的に適応することができるのです。
ブレーカの仕組み
このブレーカは、圧力を加えた流体エネルギーを機械エネルギーに変換して、材料を破壊する機能を持つアタッチメントです。ブレーカ自体の重さと工具の衝突が動きの質量の運動エネルギーを衝撃エネルギーへと変換し、その衝撃エネルギーが工具を通じて解体材料に伝達されます。
これらの油圧ブレーカは、主に次のふたつのモードで働きます。
- 貫入による破壊
使用する工具の特殊構造によって生成されるくさびとしての働きと応力波の組み合わせが岩盤を粉砕する方法です。このような解体では、ブレーカの生産性を向上させるためにも使用する工具の切れ具合と形状が重要となります。
- 衝撃による破壊
平らな工具を使って応力波だけで材料を破壊するのが特徴です。典型的な用途のひとつが、大きなブロックや岩の解体です。
相応しい工具選びは、油圧ブレーカから最大の生産性を引き出すために大変重要な要素となります。
トンネルという過酷な解体の分野で培った長年の経験を生かし、INDECO社は、どんな現場環境でもワンランク上のパフォーマンスを発揮するため、さまざまなタイプの工具を開発いたしました。
トンネル掘削工具の決定要素
山岳トンネルの掘削方法の選択は、単に費用便益分析では決着できない多くの要素が絡み合う複雑な決定プロセスです。地質の特徴 (RMR値、RQD値、GSI値など) はもちろんのこと、それには実際の作業進行難易度 (掘削 – 土砂搬出 – 固結) や作業員や機械や設備の数、現場へのアクセスの良さ、環境上の制約などに関する物流的および経済的な評価も重要です。使用可能な掘削方法の初期分析を行うため、INDECO社は、掘削手段選びを複雑にするさまざまな要因を考慮する「基準マトリックス」評価方法FocusOnを用意しました。
ここで分析・比較される掘削システムは以下のとおりです。
- 油圧ブレーカを使う掘削
- TBM (トンネルボーリングマシン) を使う掘削
- 火薬を使う掘削
TBMの使用に潜む問題点
最も効率が良い掘削工法として考えられているこのTBMですが、柔軟性が乏しく、以下のケースにおける使用は推奨されません。
- ルート全体に沿った岩盤の均質性に関するデータが不十分の場合
- 大きな亀裂や重大な水文地質条件がある場合
- 山岳トンネルの長さが2キロメートル以上 (費用がかかり過ぎる)
- ルートに非常に大きなカーブが予定されている場合
- 多芯円形状での掘削が必要な場合 (真円ではない)
- 輸送上の条件においてその組み立て/解体が困難な場合
火薬を使う掘削に潜む問題点
伝統的な掘削方法である火薬は優れた成果をもたらしますが、それにはその岩盤の特性が爆破に適したものでなければなりません。そのため、岩盤の硬度が低かったり、特に割れやすかったりする場合、火薬は満足な成果を発揮することができません。
しかしながら、高い密度と硬度を持つ岩盤と多くの亀裂があり硬度が低い岩盤がある場合、お互いを補うことのできるブレーカと火薬は掘削に最適な組み合わせとなります。
トンネルの掘削にブレーカを使う理由
全断面トンネル掘進機 (TBM) や火薬などの手段を使うのが難しいまたは非経済的な地質特性や大きさのトンネル掘削手段としてブレーカを選ぶことは最適なソリューションです。世界でもトップクラスで山岳トンネルが多く、掘削と固結が特に困難な岩盤を特徴とするイタリアで、ブレーカが広く活躍しているのは、まさにこうした理由からなのです。